ポジティブな面しか見ないのは不健康
ネガティブな感情や思考を目の敵にしている人を時々見かけます。
わかりますよ、それがあると体が反応して苦しいから、排除したいと思うのは当たり前だとは思う。
だからと言って、それをないことにして強制的にポジティブに変換するのはいかがなものか。
抑圧した感情はパワーアップするんですよ。
なので、行き過ぎたポジティブ思考は、実は苦しみをさらに強くしかねないんですよね。
あまりにもポジティブ教(狂?原理主義?)に毒されている人が多いので、定期的に書かないといられない私(笑)
近年、自己啓発の分野ではもちろん、オカルト(日本ではスピリチュアル?)の世界でももてはやされている「思考は現実化する」という考え方。
この考えを信じれば、ネガティブ思考だとネガティブな現実を引き寄せるから、思考はポジティブにしないといけないと思い込むでしょうね。
(可能性がゼロとは言いませんが)
もちろん、無駄に負のスパイラルに陥っている時には、ポジティブな側面を見るのもいいと思う。
このネガティブはある意味妄想だったりするから。
でも、妄想ではあるけど、自分にとってとても重要なメッセージだ。
だから、それをないことにするのはもったいない。
私にとっては「ここ掘れワンワン」ポイント。
もちろん、心身ともに健全で、本当の意味でのポジティブ思考ならば、何も言うことはありません。
私が思う本当の意味でのポジティブ思考とは、ネガティブも受け入れること。
それを受け入れた上で、前向きな未来を思い描き、それを行動に移していく。
現実から目を反らして、
「私は素晴らしい」
「私は大丈夫」
「ピンチはチャンス」
とネガティブ(不安や恐れ)を抑圧することではありません。
自己肯定と同じだと思う。
自己肯定も、ダメな自分すら受容することであって、「私はイケてる」と思い込んだり暗示をかけることとは違います。
本当のポジティブ思考ではない場合、その人は解離している可能性もあります。
-----「解離」とは、体験自体や、その体験にまつわる感情などを無意識的に心の外へと切り離す心理的な防衛機制のこと。
その体験が心に抱えておくにはあまりにも辛すぎる時などに、自分を守るために起きます。
解離している人は、「ポジティブでいなくてはならない」と強迫観念のようになってしまっているので、ネガティブな現実から目を反らすために、無理やりポジティブなことを考えようとしていると言えます。
それは、自分には現実に対処する力がないと無意識の思い込みがあることが考えられます。
これね、私自身30年くらい前にポジティブシンキングに嵌りかけたので実感しかありません。
解離はしていなかったと思うけど、自己否定激しかったし、自分を責めていたし、自分を全く受け入れていなかったし、自分は無能だと思っていたし。
無意識の領域なので、自覚してたわけじゃないけど。
自分が通ってきた道だから、よ~くわかる。(まだ自己否定等々残骸はあると思う)
「引き寄せ」は嵌らなかったけどね。
ここで、ポジティブシンキング(積極思考)について、ウィキペディアがいい仕事しているので一部引用します。
積極思考は、時に認知を歪めることもある。現実を楽観的に捉え正確に把握できない「楽観主義バイアス」、ポジティブな妄想を強めるという指摘もある。
積極思考では、自分の力が及ばないことが起こると考えたり、未来の破滅を恐れるのは、自己の変革が必要な証拠だとされる。
現実はすべてその人の思考次第という考えは、科学的に証明されておらず、疑似科学と呼ばれており、多くの科学者は支持者たちが科学概念を捻じ曲げて援用していることを批判している。
科学的に証明されていないから嘘とは言えないけど、この引用部分には賛成です。
過度なポジティブ思考は、体にも影響を及ぼすようです。
書籍『身体が「ノー」と言うとき 抑圧された感情の代価』ガボール・マテ/日本教文社 平成17年
より引用します。
二年近く費やして行われた研究によれば、楽しい夢想にふける傾向のある乳がん患者は、より現実的な考え方をしている患者と比べて治療後の経過が悪いということである。
またネガティブな感情を表すことの少ない患者も、やはり予後が好ましくなかったということである。
ネガティブ思考によって、私たちは自分自身のために勇気をもって問題を見つめなおすことができる。無理やりポジティブに考える人ほど病気にかかりやすく、回復しにくいことは、数々の研究によって証明されている。
ということで、強制的にポジティブになろうとせず、ネガティブな部分をきちんと見ていきましょう。
大切だから何度も言うけど、ネガティブな感情、思考、感覚は自分からの重要なメッセージです。
過剰なポジティブである「ポリアンナ症候群」という心の病に触れた記事です。
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心理セラピスト 長沼美恵(ながぬまみえ)
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