「思考が現実化する」「引き寄せ」の弊害

セラピストとして開業する何年か前のこと。

知人に頼まれて、感情解放の心理セラピーを行いました。


受ける人が、自身の「不安」「恐怖」「怒り」「悲しみ」などのネガティブな感情に寄り添うセラピーです。


ところが、セッションが終わった後に、

ネガティブな感情に意識を向けると、ネガティブが現実化してしまうのではないかと思って集中できなかった」

と言われました。



感情は、抑圧すると、満たされない思いが強かったり、何だかイライラしたり、酷ければうつになったり、慢性病になったりすると言われています。一言で言うと、生きづらい状態。

しかも、抑圧するとパワーアップします。


その知人は所謂スピリチュアルに嵌っている人で、「思考は現実化する」みたいなことを信じていたようです。「引き寄せの法則」でしょうか。


もちろん、自分の説明不足を反省しました。

同時に、スピ界隈・引き寄せ界隈の弊害のようなものも感じました。


向き合うべき感情から目を背けているせいか、実際それはそれはもう、かなりの生きづらさを抱えた人でした。



基本的には、私は今のところ「思考は現実化」しないと思っています。

現実化したと感じることもあるかもしれないけど、それは偶然かなというスタンス。 

思考の結果として現実化したかどうかは誰にもわからないと思います。 


ただ、祈りの力というものはあるとは思いますけど…。(結局どっちなんだ?)


(思考はエネルギーだから全く現実化しないとも言い切れなところがありますが、「思考は現実化する」と考えたときに体がキュッと縮む感覚というか息苦しさがあるので、いずれにしても私採用しません。)


そんな私も若い頃、ハッピーなことを考えれば、現実はハッピーになると思っていた時期もあります。


でも、苦しいままで何も変わりませんでした。


その時の自分に言いたいのは「そんなことをする暇があったら、さっさと自己探求しろ」です。

引き寄せたいと思うのであれば、どうしてそれが必要かを見た方がいいと。


そもそも外側の何かで自分が満たされることはないし。



引き寄せの法則の神髄は、「いい気分でいると、それに同調するものが寄ってくる」だと思います。

ここは賛成できます。が、トリッキーなところでもあります。


表面上は「いい気分でいる」。 

でも、抑圧しているから気づかず、実は内面がざわついていて、とてもハッピーとは言えない状態だったら?


ハッピーな現実を頭で思い描いても、それを実現させるのは難しいということにならないかな。 

実際には、ざわつきに同調するから。


だったら、そのざわつきを見た方が得策だと思います。


自分にはざわつきなんかないと思っている人。本当にそう?

それを知る方法は、何かを引き寄せたいと強く思っているか否かです。

思っていれば、実はざわつきを抑圧している可能性が高いと思います。


「悩みなんかない」という人ほど悩みが大きいといいますから、そういうことでしょう。



なんて、偉そうなことを書いてきましたが、私だってこうなったらいいなぁという願いのようなものはあります。それを渇望しないだけで。



現状を変えたいのであれば、まずは自分を徹底的に理解することから始まります。

なぜそれを引き寄せたいのか、本当は何を望んでいるのか、どんな感情や思いがあるのかなどを知ることが大事です。


現実が変わるか変わらないかは神のみぞ知る…ですが。




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ゆんわりタッチとストレスクリア


長沼美恵(ながぬまみえ)